厚いものから、薄いものまで。


カラフルなものから、シンプルなものまで。



どれにしようかな。いっぱいありすぎて選べないなぁ。



「あ、これ、おすすめだよ。何回か繰り返せばだいたいの単語覚えられる」


「本当? じゃあこれにしてみる!」



あたしは学年で1番頭のいい男の子と一緒に、本屋さんの参考書コーナーにいた。



選んだのは、その男の子おすすめの単語帳と、数学の問題集。



「あの、高川さん、重いよね。俺持つよ」


「いいよいいよ。付き合ってもらったのはこっちだし、気遣わないでよー」



緊張した面持ちで、その子はあたしの袋を持とうとしたが。


軽く指が触れた瞬間、ぽっと顔を赤らめながら猛スピードで手を遠ざけられた。



初々しいその仕草に笑いそうになってしまう。



「そうだ。選んでもらったお礼にアイスでもおごるよ」


「え? それは悪いって」


「いいのいいのー。1階にある店、美味しいんだよ。行こうー」



上目遣い+笑顔でそう伝えると、その子は顔を真っ赤にしたままこくりと頷いた。