突然振ったせいか「え……!?」とおどろく彼女。

あまりにもいきなりだったせいで出てこなかったんだろう。「和食じゃなくていいから今食べたいものは?」と尋ねてみれば。



「チーズの乗ったハンバーグがいい」



予想以上にお子様な答えが返ってきて、思わず口元がゆるんだ。

食の好みにつべこべ言うつもりはねえし、俺もハンバーグ好きだけど。このタイミングでそれか、と不意打ちをつかれた気分だ。



「いーよ。なら昼はそれにしような」



「えっ、ちょっとあたしの意見は!?」



「和食の何が食いてえのか言わなかったから却下」



そうこうしてるうちに、いい感じに焼き目のついたフレンチトーストが出来上がる。

小皿にメープルシロップを入れて皿に添えると、それを莉央のところに持っていったあと。




「莉央、今日買い出し付き合えよ?」



「なんでだよ。

いつもルノが一緒に行ってんだろ」



「お前だけ朝飯別なのめんどくせえんだよ。

あ、姫も授業行かねえなら、一緒に行こ」



有無を言わせねえように莉央にそう言えば、不服そうにして「男ふたりで行けんだろ」と零す。

まあそうなんだけどねえ。わざとだよ。



「え、わたしも?」



「うん。嫌?」



「ううん、嫌じゃない」