それなのに毎日のように集まるんだから、本当にみんな仲が良い。

3階は2階と同じつくりになっていて、放送室があったところには物置が。物置側の2部屋は空室で、いつみ先輩と夕帆先輩の部屋があった。



ちなみに。

余談だけれど、個人部屋の茶色い扉にはすべてにプレートがかかっていて。



いつみ先輩が金の王冠、夕帆先輩が銀のティアラ、ルノくんが赤薔薇、ルアくんが白薔薇。

椛がブロンズの甲冑で、馬村くんは黒い馬、の絵柄だった。絶対に経費の使い方を間違えてる。



「ああ、そうだ。

俺の隣の部屋、お前の部屋だからな」



「え」



「部員なんだから当たり前だろ。

寝泊まりできる方が便利で良いからな。あとで部屋のカードやるから、好きにカスタマイズしろよ」



至れり尽くせりってこんな感じなのかもしれない。

いつみ先輩はなんてことない顔しているけど、ここまで待遇が良すぎると、本当にどれだけ仕事が大変なんだろうと思ってしまう。




「面倒だって言うなら俺の部屋で一緒に暮らすか?」



「は、い……?」



「広いからお前ひとりぐらい一緒に住めるぞ」



なに言ってるんだろうこの人。もう1回言う。

この見た目でなに言ってるんだろうこの人。



しれーっと、まるで彼女に同棲を誘うかのような言い方をする彼を、思わず凝視する。

この場でもしわたしがいつみ先輩の彼女だとしたら、納得したかもしれない。だけど生憎わたしはいつみ先輩の彼女じゃないし、いつみ先輩はわたしの彼氏じゃない。



「「はい」って言うわけないですからね」



「ああ、だろうな。……脈ねえ方が燃える」