「えー。来栖と永浜は、放課後残ること」

「はぁ? なんで!?」

「補習だ」

「ええ。俺、今日はカラオケに行く予定なのに……」

「このまま追試で合格できないのとどっちがいい?」

「くっ……」


言い返す言葉を失う永浜くん。


「ドンマイ。あたしが永浜の分も楽しんできてあげる〜」前の席に座る架里奈にケラケラ笑われている。


そんな中、わたしは絶望的な気分だった。

自分が、情けなくて。


学年トップの成績をおさめた兄。

一方、赤点を取り補習に呼ばれたわたし。

補習のあとに待っているもの……

それはズバリ、追試だ。


黙っていても、この事実は三者面談で母に知られてしまう。

また、ガッカリさせてしまうだろう。