「着替え終わらせたよ、ブラッド」

「ありがとう、ミリィ。傷の方はどうだ?」
 
俺の言葉にミリィは頭を左右に振った。

「怪我は一つもなかったよ。ブラッドの大爆発を生身で受けたはずなのに」

「そうか」
 
となると俺の魔法を無効化したのか、それとも跳ね返したのかという可能性は濃厚のようだな。

「ミリィ、今日はもう帰れ。あいつは俺が見張っとく」

「大丈夫なの? もしあれなら今日泊まって行くけど」

「心配するな。何かあったら魔法で対処する」
 
俺の言葉にミリィは目を瞬かせた。

そして直ぐに目を細めると胸の前で腕を組む。

「勘違いしないでよ。私はブラッドの事を心配しているんじゃなくて、あの人を心配してるの。ブラッドが手を出すかもしれないし」

「だから! 大丈夫だから!」

頼むからそこは信じてくれ!

☆ ☆ ☆

荷物をまとめて帰って行くミリィを見送り、俺は一階のリビングへと戻る。

「さて、どうしたものか」
 
彼女には聞きたい事が山程ある。それにはまず目を覚ましてもらわないといけないが。

「おい……」

「っ!」
 
突然後ろの扉からどすの利いた声が聞こえ俺は慌てて振り返った。
 
そこにはさっきまで気を失っていたはずの彼女が立っていた。
 
背中の真ん中くらいまである白銀の髪は、月明かりに照らされきらきらと輝いて見え、ゆっくりと顔を上げた彼女の碧眼の瞳に俺の姿が映る。
 
その姿に見惚れつつも俺は口を開く。