「い……くや、も……いい」
そんなか細い声を聞いて我に返る。熱くなった林檎の腕を見て、もう一度小さくごめんとつぶやいてから。
ちょっとやりすぎたかも、なんて。ゆっくりと顔を上げた。
…….ほんと、上げなきゃよかったって思う。
自分の目に映った林檎の顔を見て、俺は理性がぶっとんだ。
_______アホか。
顔真っ赤にして、涙目で、おまけに上目使いで、俺の名前を呼ぶなんて。
いとしいと、思ってしまったのに。
そんな風に煽られたら、俺もたねーよ。
多分、一瞬もなかった。考える暇なんて。
コイツにキスしていいかなんて、考える暇もないほど。
_______愛おしくて。
思わず、唇を重ねてしまった。我慢なんて出来なかった。だって俺にとったら、初めてのことなんだよ。
誰かに自分から、キスしたいと思うなんて。
「いく……んっ……?!」
ああ、もう、ふざけんな。
声出すなよ、やめられねえだろ、クソ。
そんなこと思いながら、もう止められない俺がいたんだけど。