ケータイ小説 野いちご

ウソつきオオカミくんのお気に入り






「い……くや、も……いい」


そんなか細い声を聞いて我に返る。熱くなった林檎の腕を見て、もう一度小さくごめんとつぶやいてから。


ちょっとやりすぎたかも、なんて。ゆっくりと顔を上げた。

…….ほんと、上げなきゃよかったって思う。



自分の目に映った林檎の顔を見て、俺は理性がぶっとんだ。


_______アホか。


顔真っ赤にして、涙目で、おまけに上目使いで、俺の名前を呼ぶなんて。


いとしいと、思ってしまったのに。
そんな風に煽られたら、俺もたねーよ。


多分、一瞬もなかった。考える暇なんて。

コイツにキスしていいかなんて、考える暇もないほど。

_______愛おしくて。

思わず、唇を重ねてしまった。我慢なんて出来なかった。だって俺にとったら、初めてのことなんだよ。

誰かに自分から、キスしたいと思うなんて。


「いく……んっ……?!」



ああ、もう、ふざけんな。
声出すなよ、やめられねえだろ、クソ。


そんなこと思いながら、もう止められない俺がいたんだけど。


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