「やあ、オリバー」

「なんだ、お前さんかい。客かと思って焦っちまったじゃろうが。年寄りを驚かせるでない」


彼はおじいさんをオリバーと呼んだ。おじいさんは安心したような顔をして彼に近寄っていく。


「俺だって客だぞ」

「お前さんは別じゃろう」


2人は仲が良いのかリルをほったらかしにして世間話を始める。リルはただその様子を見ているしかできなかった。

ただ自分を連れてきてくれた彼がいて、どうして彼がここにいるのかそれだけがずっと疑問だった。


「それにしても店の外まで話し声が聞こえていたぞ。お孫さん帰ってきたのか?」

「違うんじゃよ、それが…」


おじいさんがリルを見つめる。その視線を追うように彼もリルを見つめた。


「娘、お前が、なぜ?」

「あなたこそ、なんでここにいるんです?」


彼はリルがここにいることが分からない様子で説明するようおじいさんに尋ねた。

おじいさんは昨日の夜のこととリルがここで働きたいと言い出したことを彼に伝えた。

彼は「ふうん。ここで働く、か」と相槌を打った。おじいさんの対応が当然だろうなと言いたそうな顔だとリルは思った。


「娘、ここがどんな店か知った上で言ったのか?」


一通り話を聞いた彼はリルにそう尋ねた。


「花屋だとは聞きました」


彼とおじいさんは目を見合わせて肩を落とした。


「ここはただの花屋じゃない」


そう前置きをして彼は話し出した。