「好きって……」




そのことに気づいたらしい光希くんは、顔を真っ赤にして口を塞いだけど、もう手遅れ。





「……最悪」



光希くんはそう言うと、立ち上がって私の目の前に立った。





「ちゃんと言おうと思ってたのに、

うっかり口滑らすとか……」




光希くんは自分の黒髪を耳にかけた。



ドキドキと心臓がなってるのがわかるし、光希くんにも聞こえてしまいそう。















「好きだよ、センパイ」











彼のその言葉は、一生言われることはないんじゃないかと思っていたものだ。





「本当に?」



「嘘言ってどうすんですか」



「なんで、私なんかのこと……」



「……一生懸命なところ?」



「ばかぁぁあ」





私はそのまま光希くんに抱きついた。


光希くんは少し後ろによろけたけど、私をしっかり抱き止めて、頭ごと抱き寄せてくれた。










キミに好きになってもらう方法、そんなのはなくて。


彼に一生懸命、ぶつかることが大事だと知った。







【完】