ケータイ小説 野いちご

桜の花が咲く頃に

第2章 -記憶-





「つ、疲れた……」


あのあと桃は土方に "ついで" と言ったことに小一時間ほど怒られた。


そのあと追い討ちをかけるように、三馬鹿こと永倉、藤堂、原田と試合をした。


……いや、半ば強制的にさせられた。



「あ、夕餉の支度を手伝わなくちゃ!」


桃は残り少ない体力を振り絞り、よろよろと台所へ向かった。














「おいお前ら、少し話がある」


夕餉時、土方が隊士たちにそう呼びかけた。


平隊士たちが箸を置き、なんだなんだとざわつきはじめる。



(なんだろう、何かするのかな?)


もはや、もぬけの殻の桃は、そんな様子を部屋の隅でぼうっと眺めていた。



「あそこで死にそうになっているやつが、今日から新しく女中兼一番隊副隊長、そして俺の小姓となった玖桜桃だ」


土方が "そして" を強調しながら桃を指差した。




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