シエラの冷たい視線を感じながら、レオノーラはそっと胸にしまい込んだ水晶を押さえました。

水晶の精霊は、ここにいるよ、というふうに温かくなりました。


そうだわ、リュイがいる。
私は1人じゃないわ。


レオノーラは、誰にも見つからないように、リュイの水晶を隠していたのでした。


ああ、それにしても何てことになってしまったのかしら。

私がビーワ国にお嫁入りしなくてはいけないなんて……。

ビーワ国の方たちに、私が身代わりだって知れてしまったら、きっと殺されてしまう。


どうしたらいいの。


ああ、どうしたら……。



目の前のシエラは恐ろしいし、レオノーラは逃げ出したい気持ちでいっぱいでした。

でも、こんな事態を招いてしまったのは、私なのだわ。


私のせいなのだわ。


グラディス王女の叫んだ声が、レオノーラの心に深く突き刺さっていました。