静まり返った教室内に、途端に拍手の音が聞こえて来た。


先生が血まみれの手で梨央へ向けて拍手を送っているのだ。


「おめでとう小林!! 最初に選ばれるなんて光栄なことだぞ!」


その言葉に梨央がブンブンと首を左右に振った。


「無理です! 悠を殺すなんて無理!!」


「おやぁ? 殺す相手はまだ投票してないのになぁ。なんで松岡の名前が出て来るんだろうなぁ?」


先生はわざとらしくそう言って首を傾げて。


梨央は唇をキュッと引き結ぶ。


「そうだ。まだ誰が殺されるか決まってない!!」


そう叫んだのは悠だった。


確かに投票はまだ始まっていない。


でも、この流れで悠以外の生徒が殺されることになるなんて、思えなかった。


「小林は松岡の事を殺したいのか?」


先生の質問に梨央は左右に首を振った。


「殺したくない! 誰のことも、殺したくない!!」


叫ぶ梨央に、先生の笑い声がかぶさって聞こえて来た。