結婚して新婚生活を楽しむ暇もなく、彼女はすぐに妊娠した。

子供ができたのは嬉しかったけど、しばらくは2人でイチャイチャしたかった俺は少し不満。

まあ、避妊してなかったんだから仕方ない。

次の年には長男の雄太を授かって、その2年後には長女の亜美を授かった。


可愛い妻と可愛い子供達。

本当に幸せだった。

雄太が小学校に入る前に、マイホームを建てた。

俺は仕事を頑張って、順調に出世もした。

役職に就けば、責任も重くなる。

今までも忙しかったが、さらに帰りは遅くなり、休日出勤も増えた。

それでも仕事が終わらない時は、パソコンを自宅の寝室に持ち込んで働いた。

咲は、休日は俺を好きなだけ寝かせておいてくれ、

『いつもお疲れ様』

と、いつだって笑顔を向けてくれていた。


俺は、どこで間違えたんだろう。






‥‥‥‥‥。

咲のベッドを見つめていた俺は、徐ろに自分のベッドをおりて、彼女のベッドに潜り込んだ。

ー咲の匂いがするー

彼女の匂いに包まれて、ふいに涙が出そうになった。

変態チックな自分に苦笑する。

こんなところ、亜美に見られたらなんて言われるだろう。


でも今、無性に咲に触りたい。

毎日隣のベッドに寝ていた咲。

こんなに近くにいたのに、どうして長い間君に触れずにいられたんだろう。


咲、君を、抱きしめたい。

君に、キスしたい。

お願いだから、帰って来てー。