ケータイ小説 野いちご

なまえをよんで

今朝家を出る時、彼女が珍しく

「今日も遅いの?」

と聞いてきた。

俺は研究職で、とにかく仕事が忙しい。

一年を通じても、定時で上がる日なんてほとんど無い。

でも、今は比較的落ち着いている時期だったから、

「んー。20時くらいには帰れると思うけど。」

と答えた。

彼女はニッコリ笑って、

「わかった。」

と言った。



この時、俺は気づくべきだったんだ。

今日が結婚記念日なんだって。



会社に行ったら、そんな朝のやりとりはすっかり忘れてしまっていた。

そして、19時頃仕事を終わらせた俺は、同僚や後輩に誘われるままに居酒屋に立ち寄った。

新婚当時ならともかく、今はわざわざ飲みに行くという連絡さえ妻にしていない。

最初の頃こそ妻に「連絡くれないと夕飯とか困るから。」と愚痴られていたが、最近では呆れているのか愚痴もなくなった。

どうせ子供と自分の分の食事は作るんだから、俺が連絡しようがしまいが関係ないだろ?


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