言いかけたダンドリッジの顎に。

「ライジングドラゴンッ…」

リュートは小さく体を縮こまらせて。

「ナッコォオォォオォオッ!」

渾身の右拳を叩き込む!

ガツッ!と。

吸血鬼特有の牙が、ぶつかり合う音がした。

下から上へと突き抜ける衝撃。

ツェペリ家直系の吸血鬼であるダンドリッジの目の前が、白く明滅する。

倒れはしない。

真祖の血を引く吸血鬼なのだ、人間如きの拳で倒れよう筈がない。

それでも。

「っっっ…」

ダンドリッジは、僅かに落ちようとする膝を堪えた。