そんな折。

「リュート君」

離宮内。

リュートは美しい女性に声をかけられた。

ティーダの母、リプニー・グリフィノー。

つまりリュートの祖母だ。

祖母といってもまだまだ若々しく見目麗しい。

社交界に出て行っても、シオンの妃という肩書きさえなければ引く手数多なのは間違いないだろう。

この美貌でありながら、彼女は皇都随一の魔銃の使い手でもある。

長尺の携行砲はこちらの世界に嫁ぐ前からのリプニーの得物であったが、嫁いでからは魔銃使いとしての研鑽を重ね、今では近衛師団に超々長距離狙撃専門の部隊を組織するに至るほどの腕前となった。

皇族や貴族などを人質に取られた際、遠距離から窓際の犯人のみを的確に狙撃し、救出する。

地球では当たり前に行われる戦術を、こちらの世界にも導入したのはリプニーだった。