そんな事を思っていると。

「リュー君!」

ヅカの大階段みたいなのを、スカートの裾を摘まんだ女性が駆け下りてくる。

駆け下りた拍子に、自分のドレスのスカートの裾を踏んで転倒してしまった為。

「だからそんなドレスやめて、ホットパンツにしろっつったろ」

リュートは落下してくる小柄なその女性を受け止めた。

「だってリュー君が心配させるから!慌てて駆け下りてきたんじゃないか!」

うるっうるの瞳でリュートを見上げるショートカットのこの女性こそ、妃のタンポポ・グリフィノーである。

妃といっても、リュートの妹にさえ見える若々しさだが。

「何で家出とかするのぉ?私が不満なの?ティーダ君が不満なの?嫌なとこがあるんなら直すからさぁあぁ」

リュートにハグして泣きじゃくるタンポポ。

誰も不満があるとは一言も言っていない。

寧ろ上げ膳据え膳言う事なし。

しかしそういう事では、強くはなれないのだ。

満ち足りた生活を送っていては、父方の祖父や母方のご先祖様のような武勇を轟かせる事は出来ない。

だが、過保護な母にはそれが分からんのです。