「…俺も悪かった。あんなこと言って。

璃乃と橋本が一緒にいるの見て、ずっとイラついてたんだ。
璃乃の隣には橋本が相応しいのに、そう思っていながら璃乃の隣が俺じゃないことにイラついてた。

俺は隣にいちゃダメなのに、そう思えば思うほど隣にいたいって思うんだ。

本当はあんなこと言うつもりじゃなかったのに…悪かった」





月星は頭を下げてから





「もう、自分でもどうすりゃいいのか分かんねえんだ…」





弱々しく呟いた。


そんな月星がいつもより小さく見えて私は気付くと彼を抱きしめていた。





「…私は月星が、松下月星が好きです」





優しく、優しく語りかけるように。





「最初はこんなチャラいやつ…って思ってた。
どうせ女の子のことなんて遊びとしか思ってないんでしょ?って。
でも、それは間違いだったんだね。
貴方の周りにいる女の子はみんな幸せそうだった。
それはちゃんと一人一人と向き合ってたからでしょ?

月星といるとそういうのが痛いほど分かった。

同時に辛いこととかしんどいこともあった。
だけど月星と出会ってから不幸だなんて思ったこと、これっぽっちもないよ」





月星の背中に回す腕に少し力を入れると、同じように月星も返してくれた。





「俺も…俺も璃乃がずっと好きだった…
初めて会った時、俺に対する態度が他と違ったから気になっただけなのに、どんどん惹かれていった。
だけど、傷付けるのが怖かった。これ以上傷付けるのが怖かった。

でも、今なら言える。璃乃のことが好きだ。お前だから好きになった」





その言葉を聞いた瞬間、私の胸の中が暖かいのを通り越して熱くなった。


息が苦しくなって涙が溢れた。