彼はまた首をかしげる姿を目にした。

これでも分からないのか。
本当に鈍いというかなんというか…

学校への道を歩きながら言葉を続ける。

 「あのね、女の子は好きな人の中では一番がいいの」

そう、一番が良かった。

 「幼馴染の私でさえも羨ましく思うものなのよ。一緒にいる時間が長いからね」

 「でも、これはなんつーか身体に染み付いてるようなもんだしな。お前と居るのが俺の日課みたいなもんじゃね?」

 「本当、乙女心がわかってない」

 「だって、俺男だし。わかんねぇーよ」

「まぁ、そうねー馬鹿な佑斗にはわからないよねー」

私は歩くスピードを少し上げる。
彼の方に振り向かずに言葉を続けた。

 「私からのありがたいアドバイスよ、黙って聞きなさい」

これが最後の私にできることかもしれない。
でもこれでいいんだ。
これで終わりにしなきゃ…