「それって、何かの間違いじゃ……」


「学校内で、知らない人はいないんじゃないかっていうぐらいの有名な話だよ!」


「だから、怖くて近寄らない人が殆ど!黒河内君も不良じゃなければ、王子に並ぶぐらいモテそうなのにね」


「だよね~。でも、王子に並ぶなんて無理な話だけどさ」


女の子たちは皮肉っぽく笑う。


「そういうわけだから、今後は黒河内君と関わらない方がいいよ、碧瀬さん」


「ヤバいことに巻き込まれないためにも、絶対に」


“それじゃあね~”と手を振って、女の子たちは空き教室から出て行ってしまった。


壱夜くんが危険人物…?


そんな人が、二回も道案内してくれたり、不良に絡まれているところを助けてくれたりする?


それに…


“そんなとこで座りこんでいたら、コンビニ側にも迷惑だろ”


“朝っぱらから声がデカ過ぎ。近所迷惑になるだろうが”


周りのことに気を配れる人が、万引きや喝上げをしたりする…?


さっきの女の子たちの話…。


どうも腑に落ちない。