カズマside



「たっだいま~。あれっ、カズマまだ玄関にいたの?」



「あー…いや、ちょっと出かけてくる」



玄関でふたりの会話を盗み聞きしてたとか、カッコ悪すぎ。



また出かけるフリをして家を出た。



ここでじっとしてた割にはあんまハッキリ聞こえなかったな。



ゆめが俺のことを、全然好きじゃない!って連呼してたのだけはしっかり聞き取れた。



これが現実…か。



ゆめは俺を、全然好きじゃない。



…いい加減、この現実を受け止めなきゃいけない。



いつしか外は真っ暗になっていた。



冬の日没は早い。



ゆめの部屋がある位置を見上げると、電気がついていた。



リビングにも灯りがともっている。



今日は、おばさん仕事じゃないのか。



もしひとりなら、うちで食えよって誘えるけど、今日はそれもできない。