あの人たちに宣戦布告した翌日、
私の上履きがなくなった。



仕方無くスリッパを借りて教室に向かうと、ドアのところで3人のうち外見は綺麗な2人が仁王立ちして待ち構えていた。

なるべく目を合わさないように、廊下にできている人だかりに紛れながら歩いた。

彼女たちのいないもう一方のドアから入ろうとすると、3人組のボスで1番体格のいい遠野亜子に後ろから突撃された。


「あら~、ごめんなさい。影が薄くて見えなかった~」


わざとらしくそう言うと今度は私の鞄に飛びついて、それをゴミ箱に投げ入れた。


「アハハハハ…、ざまあみろ」

「お気の毒様」

「逆らうから悪いのよ。自業自得」



アハハハハ…

アハハハハ…

アハハハハ…



彼女たちの笑い声がお見舞いされる中、私はゴミ箱をあさった。


無様。

惨め。

嘘偽り無く、負け犬。

私は負け犬の象徴。


「どーぶ犬」

「どーぶ犬」

「どーぶ犬」

3人がどぶ犬コールを始めると周りのクラスメイトたちも逆らうことができずに彼女たちに続く。

「どーぶ犬」

「どーぶ犬」

「どーぶ犬」










私は負け犬でどぶ犬。

一度そのレッテルを貼られたらもう二度と私は名前を呼んでもらえない。




桜井乙葉はここにいない。