私がそう言うと魁音は私の頭を撫でた。


「ほらな。雫は変われてるよ。大丈夫。」


「うん。ありがとう。魁音。」


「ううん。・・・・・せっかくだし、少し歩こっか。綺麗だから、桜。」


「うん。歩こっか。・・・・・・また綺麗だって思えるかもしれないから。」


私達は桜の道を歩いた。


両側に満開の桜がずらーっと並んで咲いている。


歩いていると、風に乗って桜が待っている。


「・・・・・・・・・・・綺麗。」


「「あっ!!」」


「ふふっ。今、綺麗って言った。」


「・・・・・・ほんとだ。・・・・・・良かった。」


また春が好きになれたのかもしれない。


そう思わせてくれたのは魁音。


いつも、魁音は私を変えてくれる。


じっと魁音の方を見ていると、「え?何!?」と驚かれた。


「なんでもないよー。・・・・・ありがとう。」


聞こえるか聞こえないかの声で言った。


でも聞こえてたみたい。


さっきより強く私の手を握った。


私も魁音の手をぎゅっと握った。


ありがとう、魁音。