入退院の多い俺は昔から音楽が好きだった。


テレビに映るキラキラした世界。


いつか、俺もあそこに立ちたい。


あんなふうにみんなから注目されたい。


そう思っていた。


だから今のこの治療を頑張るんだ。


頑張ればきっと病気も治って、ギターを弾けるかもしれない。


中学校の誕生日に俺はギターを買ってもらった。


エレキは流石に無理だったからアコギだけど。


俺は毎日、毎日病室で練習した。


たまに小さい子供達に聞かせることもあった。


喜んでくれてる顔を見れるのが嬉しかった。


そして、高校に入学して軽音部に入った。


同じようにプロになってテレビに映りたいって言う奴もいたし、バンドを組みたいって言う奴もいた。


同じ夢を追いかけて、毎日ギターを弾けるのが何より生きがいだった。


でも、夏休みになって俺の病気はまた俺を苦しめた。


そして言われた余命宣告。


頭のどこかでは分かっていたけど、ショックだった。


その日から何日かギターを触れなかった。


そしてまた始まった入院生活。