課題がないらしい魁音は私の腕をつねったりして邪魔してくる。


終わらないと出来ないのに、わざわざ遅らせてるのは魁音なんだけど。


「ちょっと待ってなよ。ほら、今メロンソーダ作ってやるから。」


そういうのはこのお店のオーナーの美紅さん。


魁音と美紅さんは近所の知り合いらしい。


良く分からないけど。


私もすぐに仲良くなって、いろんな話をする。


お客さんが少ない時は貸切状態で歌を歌う。


歌うことは嫌いじゃない。


それに何より、魁音のギターが好きだから。


力強く鳴らす音。


魁音の服装はいっつも真っ黒で暑くないのかなーとか思うけど。


「よし、終わった!!じゃあやろっか。」


「よっしゃ!早くやろ!」


急にテンション上がった魁音。


魁音はギターを持って立つ。


その横に私も立つ。


そして、魁音は目を閉じて深呼吸すると同時にギターを引き始めた。


瞬間、ゾワゾワっと身体が震える。


完全に武者震い。


これが魁音のギター。


私は魁音のギターに負けないくらいの歌を歌おうと決めてる。