なんか魁音には見透かされてる気がして正直にいうことにした。


「嘘。家出だよ。」


「・・・・・そっか。なんで?」


何でなんて聞かれると思ってなかった。


私は拳をぎゅっと握りしめて魁音君に言った。


「私、必要ないから。あの家で、私の居場所なんてないから。・・・・・・いらないならいらないって言えばいいのに。誤魔化して、はっきり言わないのが1番タチ悪い。」


後のほうは独り言みたいになったけど、魁音君に言った。


でも魁音君は何も言わずにじっと私の顔を見ている。


すると突然私の手を取って話し出した。


「俺と同じだよ。」


「・・・えっ?」


どういうことって聞こうと思ったけど、儚く笑うから何も言えなかった。


「俺ね、趣味でギターやってるの。さっき、雫の声聞いた時マジですげーって思ったんだ。だからさ、雫。・・・・・・俺のギターに合わせて歌ってよ。」


私の知らない世界が開こうとした瞬間だった。


きっかけは君の言葉。