「ヨルさんって、優しいですよね」


「寝言は寝て言え」


「歩くスピード、ちょうどいいです…」


「………」


何も反応は返ってこなかったけれど、私の心は嬉しい気持ちでいっぱいになっていた。


声の温度は冷たくて、飛び出す言葉は少しトゲがある。


だけど、その裏側には時折…優しさが隠れてる。


とても温かい優しさが…。


「あの、ヨルさん…」


「鬱陶しいから、それ以上…話し掛けんな」


ウザがられてしまった…。


優しいって言ったのが気に障ったのかな…?


人によって言葉の受け取り方は様々だし…。


ちょっとだけショックを受けつつ、黙々と歩くヨルさんの背中をジッと見つめた。


もっと、たくさん話してみたいな…。


さっきみたいに笑った顔も見てみたい。


ヨルさんの色んな一面を知りたい…。