「これ、本当に残留思念読解の術式ですか?

それにしては随分派手な術式を使いましたね。」



「いつもはもう少し小さいのですが、国王様直々の命令ですし。

それに今回はフィーネさんもいます。無詠唱でやってもいいのですが、万が一が怖いので。」



そう言いながら何事もないような顔でやるそれは、そう、まるで



「お姉様のような……。」



その時



「タクトさんストップ!!何か来るッ!えっ…なんで感知できなかった……いや、こっちに来てる!?」



一番に気付いたのは先生だった。



「フィーネッ!!」



「……えっ?」



カイラ兄様の声で我に返った頃にはもう



──手遅れだった。



「みなさん御機嫌よう、お久しぶりですね。」



黒く黒い羽を纏って空中に現れたのは、見間違えるはずのない人物。まさにその人だった。