私は目を逸らさないよう、まっすぐに楓くんの瞳を見つめる。
「楓くんがなにか抱えてることはわかるよ。
だって幼なじみだから。
ずっと小さい頃から楓くんしか見てないから」
楓くんの言葉をなぞる。
私も小さい頃から楓くんのことをずっと見てたから。
他のなんでもない、
楓くんの笑顔を目印に生きてきた。
だからね、その笑顔が翳っていたら、誰よりも早く気づく自信しかないよ。
ツリーが果てしなく大きく見えたあの頃よりも、今は現実味を持ってそこにそびえている。
楓くんはこれからもどんどん成長していく。
その時、楓くんの瞳には、どんな風にツリーが映るんだろう。
せめて、美しく映ればいい。
真っ暗な世界に塗り潰されるのではなく、優しい光が降り注いで見えていればいいと、そう思う。