「で、自分の事はどう思うんだ?」

「えっ?」

 課長の質問に戸惑いを隠せなかった。


「自分の事?」

 もう一度聞かれ……


「どこにでもいる、取り柄のない平凡な子、かな?」


「ふーん。以外に自分の事は、分からないんだな?」


「えっ?」

 思わぬ言葉に聞き返してしまったが……


「いや、別に……」

 課長はそう言うと長い手を伸ばし、私の頭に手の平を乗せクシャっと撫でた。


 意味は分からないけど、胸の中が熱くなる……


「ごちそう様でした」

 ペコリと頭を下げる。


「ああ……」

 とそっけなく返事をする課長を見上げると、目が合ってしまった……


 切れ長の綺麗な目……

 どうする事も出来ず、ニコッと笑い、視線を外してしまった……



 それから、時々、課長と帰りが一緒になるとラーメンを食べて帰る事があった……


 何と言う訳では無く、ただ笑って、美味しいビールに潤されるだけなのだが、私にとって、特別な時間だった……


 会社とは違う、課長の一面を見られる気がしていたからだ……