課長と向き合ってテーブルに座る。

 スーツを脱いだ課長の体は逞しく、ネクタイを緩めワイシャツのボタンを外した首筋に、男らしさを感じ胸がキュンと音を立てた。


「俺、生ビールととんこつ、それと餃子」


「私も、とんこつで……」


「ビールは?」


「いいんですかぁ?」

 私の顔は締まり無く緩んでしまった。


「ああ……」

 課長がふっと鼻で笑った。

 店員がテーブルに置いた、冷えた生ビールに目が輝く。


 課長と、軽くジョッキを交わし口に運んだ。


「美味しい…… 幸せ……」

 思わず漏れてしまった言葉に、課長の顔がクシャッと笑顔になった。


 仕事中はあまり見せない笑顔だ……


「大げさだな……」

「いいんです。一日頑張ったご褒美ですから……」

「おい。普通は上司の俺が言うセリフだろ?」


「あっ、そうですね…… 人から言われないので、自分で言っているだけなんで気にしないで下さい」
 私は、箸を手にしてラーメンをすすった。


「美味しい……」

 空腹に染み渡り涙が出そうに幸せで、又口からぽろりと漏れてしまった。


 ズルズルと、課長のラーメンをすする音に目を向けると……


 額に汗を滲ませ、美味しそうに口を動かす顔があった……


 胸の中に、ほっこりと暖かい気持ちが落ちた……