学校を牛耳るあの教頭先生には、絶対に逆らえない。

もしかすると…いや、もしかしなくても、佳代先生が全責任を取らされることになる可能性だってある。



『佳代先輩、先生たちに必死でかけあってね。舞台だけはみんなでやらせで下さいって…何度も何度も、頭下げて…』



きっと佳代先生は、人一倍この演劇への思いが強かった。

だからこそ、あんなに反対したのだ。でもあたしたちの涙を見て、11年前を思い出したのかもしれない。


…彼女たちが、涙を飲んだ高校時代を。


重いムードが再び流れる。あたしたちは俯いたまま、思い思いのことを考えていた。


─その時だった。


「…佳代先生!!」


進路指導室のドアが、勢いよくガラッと開けられた。

一斉に立ち上がるみんな。

佳代先生は、何とも言い表せない表情をしたままあたしたちを見つめていた。


「せんせ…」

「…学校命令、出されたわ」


シン、と静まり返る教室。先生の声は廊下まで響いて、耳の中に色濃く残る。

美登里が耐えきれなくなったように、先生にすがりついた。

「…っ、先生、辞めさせられちゃうの!?」

「上演はもう、できないんですか…?」

続いて詰め寄る生徒たち。みんな今まで張りつめていたのだろう、不安で仕方ない気持ちがそのまま、揺れる瞳の中に映る。


「…あたしは、」


死刑の宣告を受ける直前のように、あたしはきつく目をつむった。


「あたしは、あなたたちの顧問よ」


「…へ?」


思っていたものとは全く違う答えが返ってきて、思わずマヌケな声を出してしまった。

ぽかんと口を開けたままのあたしたちに、佳代先生はニッとイタズラっぽく笑ってこう言った。


「"桜の園"は、うちでやりなさいって。しかも、創立記念日にね」


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