むかしむかし
なんて
そんなにむかしのことは話せないけれど

優しいオオカミさんは何故か嫌われ者でした
そして
意地悪なウサギさんは何故か人気者でした

意地悪なウサギさんは
意地悪な自分が許せませんでした
そして
自分のために誰かを傷つけていることに
ナイフを持ってようやくわかったのです


ナイフを持ったウサギさんは
オオカミさんに向かって歩きます
その足取りは とても重いものでした

ウサギさんは記憶になりました
みんなが見つけた時
ウサギさんは赤い兎になっていました
そして 最後に
息も切れ切れにウサギさんは言いました




『オオカミにやられた』