幕末の世を取り締まる組織の1つ。


それが〈新選組〉である。










京の街。


江戸の都は、今日も賑やかで安全で‥‥‥


「スリよ!誰か捕まえてー!」


はなかった。


どうやらスリがあったようで。


手に盗んだであろう財布を持った男が、全力で走っていた。


誰も男を捕まえる者はいない。


「へへッ誰が捕まるもん‥‥‥」


男が余裕に笑みを浮かべた、そんな時だった。


「は〜い、悪さしちゃダメだよっ!」


少年の声がした瞬間、男の目の前が真っ暗になった。


周りの者達は驚いて、男‥‥‥ではなく、男の頭を蹴りつけた者を見つめる。


はためく浅葱色の羽織 高く結ばれた黒髪
背中に背負われた一本の刀


地面に軽やかに着地したのは‥‥‥少年であった。


少年はアホ面を曝す男に向かってニッコリと笑いかけた。


「お兄さん、スリなんかしちゃダメだよ」


「は、はぁ!?なんだよおま‥‥‥っで!?」


少年は懐から鉄の扇子を取り出すと、男の頭を叩いた。


「はい、とりあえずさ、盗んだお財布出して」


「はっ、嫌だよっ!」


男はそう啖呵を切ると、立ち上がって走りだそうとする。


「ん?そう?じゃあ仕方ないな〜」


「!?」