「…心を、照らす?」

恥ずかしいことを言ったとも思っていないような、一心な無垢な瞳。

どことなく、佐島に似ているなと思った。

「そ。歌詞にすんの」

「歌詞に!これを!?」

絶対嫌だ、と断固たる意思を持って拒否していた葵だったが、大和の熱弁でとうとう折れた。

「どうなっても知らないから」

力の無い声音に、満足そうに大和は頷いた。

(ちょっとは見直してたのに)

ため息をついた葵だったが、もしかして大和は自分のストレスを少しでも発散させられたらと考えてくれたのかもしれない、と思った。

(それはないか)

急いでかき消した葵だが、それはそう思ってしまうと気持ちがぐらついてしまう気がしたからだった。

「…とにかく、ありがとう」

顔を背けて言った葵の言葉に、大和は目を丸くした。

「礼言うなんて思ってなかった」

「失礼だな」

軽口を叩いた夕暮れも、たまには悪くない気がして頬が緩んだ。