校内への立ち入り許可を貰うため、事務室に寄る。



職員室に案内されると、担任といわれたオジサンのもとへ向かった。



担任は私が持ってきた原稿に目を通すと、満足そうに頷いた。



「清書はこっちで行うから、当日よろしく!」



依頼されたことは、新入生代表挨拶。



入試の成績なんかで選ばれたくないっていうのが、正直な気持ち。



これから高校デビューを果たすっていうのに、同級生の脳裏にマジメちゃんなイメージを焼き付けたくはない。



「前年度は山田っていう不良生徒に振り回されたけど、今回は良い生徒に恵まれたよな~。」



誰が、お前の言いなりになるって言った?



「あ、そうだ。

クラス委員もお願いしちゃおうかなー。」



はぁ?ありえないし!



かといって、いきなり本音ぶちまけるのも…ダメだよね。



「申し訳ないんですが、大学に向けて塾行ったり家庭教師来てもらったりするので、放課後に用事が多い委員の類は遠慮したいんですけど…。」



そんなの、嘘だけどね。



「良い大学行くには、この3年間で遅れを取り返さないといけないんだよな…。」



担任は納得したのか、驚くほどあっさりと解放してもらった。



ジイサンに言われるまま、行きたくもない名門進学校を受験させられてウンザリだったけど、たまには役に立つこともあるのね。



うふふ、ラッキー。