「時流様、分かったら手を挙げて、起立して発言するのでしたっけ?」

「え?そうだが……」

「では、はい」


模範的な正しい姿勢で、市木は真っ直ぐに手を挙げた。

え、こいつ、答える気か?

無理だろ……あ、でもなんか生徒っぽいから良いか。

ま、どうせ間違えるだろ。


「え、じゃ、じゃぁ、早速市木さん」


あらかじめ市木は無知だと知らせておいていたから、先生も驚いてる。


「デオキシリボ核酸」

「せ、正解……」


嘘だろ!?

昨日手で肉を食おうとしたり、服を着たままシャワー浴びてた奴が、なんで正解出来ている?!


「ね、坊っちゃま。小紺ちゃんって勉強出来ない子って聞いてたんだけど……どういう事?」


仁夜が不安そうに聞いてきた。

ちなみにクラスの中で、どういう訳だかこいつだけ『坊っちゃん』ではなく『坊っちゃま』呼びである。