「やはり、妹の方が優秀じゃないのか?」



「王家に生まれたのに、異能力者として全く使えないなんて。」



「妹は全術式が扱えて、水精宿してんだろ?」



「親が親なら子も子よね。全く、うちの国王サマは何を考えてあんなバケモノを嫁にもらっちゃったんだか。」



「姉の方、精霊が宿っているとごまかしているけど、正式な発表はされていないけれど、噂では悪魔を宿しているらしいわよ。」



そんな言葉の暗闇の底に、少女は一人いた。


そんなある日、彼女は言った。



「どうして私は術式が使えないの?フィーはもうできてるのに!!」



しゃがみこんで泣きじゃくる彼女に、母親は言った。



「大丈夫よ。そうやって

『自分にはできないことがあるという』なら

自分にしかできないことだって必ずあるわ。」



それ以来、自分にはもう無理だと『投げ出した全て』に挑戦した。



臣下たちからの信頼は、大人であろうと雄弁に語ることのできる第一王女の虚無(インショウ)を残すことで



術式は、妹のそれを真似るように。



精霊(シュラ)とは、面と向かって話せるように。



才女と言われた無能は、その腕前を徐々に上げ、罵声(才女と無能の両方の声)を浴びせていた者たちも遂に、その実力を認めざるを得なくなった。



けれど、彼女は今も



「どうしてあなたは、必ず私の一歩先を行っているの…フィー。」



ソコでしゃがみこんでいた……