小さな頃から、ずっとお人形さんみたいな気持ちだった。



お母さんもお父さんも、あたしのことをすごく可愛がってくれて、ほしいもの何でも買ってくれて。


みんなも可愛いって言ってくれて、かっこいいなーと視線を向けた男の子はだいたいあたしを好きになってくれて。



「アリサの髪の毛、つやつやで本当うらやましい~」


「えーそんなことないよー」



まあ、美容室でトリートメントもしてもらってますから。



「4組のさなだくんが、アリサのこと好きらしいよ!」


「うっそー。だって最近まで他の子と付き合ってなかったっけ?」



話したこともないのに、どうして好きになってくれるんだろう。



「期末テスト、学年1位って、すごいじゃないか」


「アリサは本当に、お母さんの誇りの娘だわぁ」



「たまたまだって! 今回トップの子が風邪ひいてただけらしいし」



昔、優秀な家庭教師をつけたりして、あたしをそう仕立てあげたのはお父さんとお母さんでしょ?



とてもありがたい日々を送っているんだろうけど、時々空しいなって思う時がある。


本当のあたしは、どこにいるんだろう。



だからかな。



『何。その理由、マジしょーもない』



いつもあたしを目の敵にしてくる、幼なじみの男の子――


良ちゃんは、あたしにとってかけがえのない存在。