「ちょっとぉ、何で笑ってんの?」
「別に」
「でも良ちゃんが笑ってるの、久々に見た気がする。かわいいね」
「は!?」
「やっぱり赤くなったー、かわいいー」
「うるせー、かわいい言われても嬉しくない」
やっぱりアリサはいつも俺の先を行っていて。
手が届きそうで、でも、簡単には超えられない存在。
久しぶりにそう実感することができて、俺は嬉しかった。
このまま色々話しながら、一緒に学校に行ってもいいかなと思い、
俺は再び自転車を進めようとしたが。
「あ、こじまくーん!」
突然、アリサはワントーン高い声を出した。
彼女の視線の先――公園にいたのは、
地味だけど割と綺麗な顔の男子だった。
まさか、アリサ……もうこじまと……。
「ごめ~ん、待たせちゃったよね。あ、良ちゃんまたねー」
そう言って、アリサはこじまという男子と2人で去っていった。
なんなんだよ! 乗り換えはえーんだよ!
確かにこじまの方と付き合ったら? って言ったの俺だけどさぁ!
しかも、1人で学校の廊下を歩いていた時、
のぞむとばったり会ってしまった。
「お前、アリサに余計なこと言ったんじゃねーの?」とシめられそうになったため、
「本当に何も言ってないです!」と土下座する勢いで100回以上伝えるハメに。
「アリサのやつ、男と1ヶ月以上続いたことないみたいなんすよ。昔から気まぐれなんすよ。俺もホント意味わかんないっす」
「そーかー。あいつの元カレもやらせてもらえなかったらしいし。くそ、俺だったらいけると思ったんだけどな。
ま、お前も人生頑張れよ!」
再び、俺はのぞむに人生を応援され、一件落着した。ふぅ。