ええ、カイラ兄様も含め、集合時間に間に合わなかったわけじゃないんです。



かといって、私が着せ替え人形にされていたわけでもない。逆に



「さすがリリーさんです。お任せして正解でしたね!」



と、お姉様は満足げだった。



じゃあ、原因は何か。瞬間移動術式のせいです。



そもそも、瞬間移動をするためにはその場所をあらかじめ知っているか、目視している必要がある。



学園の時の移動教室にしても、卒業して引越しの際、アレクシア邸に荷物を送った時でも、予めその場所を知っていて移動させたに他ならない。一昨日、お姉様が言っていた



『馬車より「も」早い移動方法がある』



これにまんまと私は騙されたわけだ。



ええ、馬車よりも早い移動手段でした。


地理学の授業、国内は全員強制だけれど、自由選択の国外地理学も選ぶようにお姉様から言われていたため、カラー画像付きで習うことのできたヴィーナス王国、並びにラナフレム王国の名所や要所へ、3人同時に瞬間移動すること数十回。