「お待ちどうさまでーす!真吹デリバリーご飯ですよー!」


真吹が出前の寿司でも届けるような軽いノリでワゴンを転がしてきた。

早くないか?

まさかカップ麺で済ますつもりじゃないだろうな……

俺の疑いの眼差しに気づいて、真吹は憤慨する。


「違いますぅー!事前に下味付けといたんですー!ほら、お肉とか味が染み込んでますよ!」


真吹が料理に乗っていた蓋を開けた。

ほわんと食欲をそそる匂いがする。

本当だ。

ローストビーフとレンズ豆のサラダ、それと野菜スープと白飯。

あと、デザートに卵プリン。


「それにしても時流様、本当に味覚が庶民寄りですよねぇ?御希望とあらばこの真吹、フカヒレスープでも北京ダックでも、ギモーヴでもボンボン・オ・ショコラでも作りますのに〜」

「良いだろ、別に。高級な料理が食えないわけではないんだから」


好き嫌い言ったり、高級志向になって舌が肥えるよりマシだろ?と言いながら、俺は椅子を引いて腰かける。