でも元はといえば、私の歩く速さを気遣ってくれなかったみんなが悪い……なんて言えるはずもなく。
うつむいてリュックの紐を握ることしか出来なかった。
「……無事だったからよかったけど、
心配かけんなアホ」
「……ごめんなさい……」
「ほら、もうバス乗れ」
聞いていただけだった杉浦さんと浜崎くんが、私の背中を押してくれる。
「悠里、ほんとに心配してたんだよ。
本気で怒ってるわけじゃないから」
「ほんと。
矢代くんの慌てっぷりといったら……」
「お前ら余計なこと言うな!」
きっと悠里くんの帽子を私が持っていたから、なくされたりしないか心配だったんだろう。
それでも、心配してくれたのが嬉しくて、少し泣きそうになった。