『じゃあ、お前』


『……はい?』



お前…なんて、意味のわからない答えが帰ってきて、思わず素っ頓狂な声が出た。

いや、本当理解不能なんですが?


何? この、ドラマに出てきそうな定番のやり取りは。

私は別にそんなの望んでいないんで、他を当たって欲しいんだけど。



『ご注文は?』


『だから、君って言ってるでしょ?
……麗華のオヒメサマ』



さっきとは違うやつの言葉に、思わず一歩後ずさって距離をとる。

わざわざ、私を麗華のオヒメサマなんて呼ぶのは…麗華の敵か、噂で知った私を興味本位で見にきたのか。



『もしかして、雷火…とか?』


いやいや、それはないだろ…なんて思いながら言った言葉に、目の前の男2人が反応して。


『中々勘がいいんだね?』

なんて、私を君と呼んだ方の男が笑いながらそう言った。



…まじですか。雷火なんだね?
という事は、これ以上関わると面倒ごとに巻き込まれるって事だよね?



『私、他のテーブルにも呼ばれてるので、ご注文が決まり次第お呼びください』



ここは、安全策をとって逃げるに限る!

後ろで呼び止められた声がしたけど御構い無しに裏方の方へと駆け込んで、盛大にため息をついた。


…だから、ウェイターなんて嫌だったんだよ。