決まりだな。


「では、近日中に荷造り等手配を……」

「あぁ、その必要はありません。この娘こんな感じですから、特に趣味も無くて私物はほとんど無いんです。今からでも行けますよ。ね、小紺ちゃん?」


こくんと首を縦に振ったという事は、今から連れてっても良いんだろうか。


「……そうか。じゃ、今から来るか?」


手を差し出してみる。


「……はい」


握られた。

ひやりと冷たい、無機物のような温度が俺の手に伝わる。




これが、俺と小紺の最初の出会いだった。