自分で言うのも自慢みたいでなんだが、学校での成績は一位から落ちた事が無いし、運動でも俺の前を走る奴を見たことが無い。

さっきのクロスワードパズルだって、三十秒程で解けてしまった。


「仕方ないだろ。やる事ないんだよ」


やる事がいくらあっても、あっという間に片付けられて、暇になる。

平日でも休日でも、いつもいつも、毎日退屈だ。

何か没頭出来るものがあればいいんだが。


「でしたら、私共の買い物についていただいてもよろしいですか?」


いつの間にかメイド服から外用のスーツに着替えていた真吹が問う。


「買い物?」

「隣町の児童養護施設に行くんですよ。さすがにこの屋敷を蝶野さんと時流様と私では、管理が大変ですからね!新しい使用人を買うついでに、孤児を助けるんです」

「私達だけで行く予定でしたが、よしお暇なら時流様もいかがです?」


ふむ。

この屋敷は広い割に、俺達三人しかいないからな。

使う部屋は限られてるが、ホコリが落ちたりして掃除も大変だ。

児童養護施設の事はよく分からないが、身寄りのない子供を預ける場所なら、面白い人間が一人くらいはいるかもしれない。