「市木(いちき)さん?なんだかすごい物音がしたんだけど……」


コンコンと、ノックと共に隣人が声をかけた。


「……大丈夫?入るわよー?」


住人である私の許可を得ず、彼女は勝手にドアを開ける。


「ひっ……?!」


開いたドアからの光で、やっとこの有様に気がついた。

飛び散った血で壁も閉まったカーテンも真っ赤。

赤い絵の具を浴びたように、私も赤く汚れてる。



「こ、小紺(ここん)ちゃん……?」



状況が飲み込めず混乱する彼女を、私は狂気に満ちた目で見る事しか出来なかった。