痛い。

苦しい。

呼吸が出来ない。

視界がグラグラと揺れて、歪む。


「……!……!」


原因は私の目の前にいるこの女のせい。

さっきから私の喉を手で締めている。

感情が高ぶりすぎて、何を言ってるのか聞き取れない。

けど、私の存在をよく思っていないから、こうやって殺そうとしてるんだろう。


……何かの本で読んだ事がある。

息の通り道を圧迫すると、人は呼吸出来なくて死ぬ、と。

まだ齢が二桁にもならない私には、『死ぬ』というものがどんなものか分からなかった。

少し前までは、死んだら空から降りてきた天使が天国に連れてってくれるものだと思っていた。


でも、現実はそうあまくないらしい。

今現在の私のこの状況、これこそが『死』に直面しているのだろうか。

眠るのとはまた違う、魂と身体が引き離されるような感覚。

……『死ぬ』って、こんなに、苦しいものなんだ。

賢さが一つ、ワンランク上になった。