今日もまた、教室のドアの前で一呼吸置く。


「……ふぅ」


私、柏木蛍(かしわぎ ほたる)は高校一年生。


細くてふわふわの長い髪は生まれつき茶色くて、154センチという低めの身長に、色白で細い体はよく『折れそうだね』って言われる。


ただでさえ小さくて存在感がないのに、声も気も小さいから、昔から人と話すのは苦手。


入学して2カ月がたつけれど、朝はいまだに毎日、こうして緊張してしまう。


別に、何があるっていうわけじゃないんだけど…。


――ガラッ。


少し勇気を振り絞って、ドキドキしながらドアを開けると、クラスの何人かの視線がこちらに向いたのがわかった。