「えっと…
√2です」




悠里くんが見せてくれた答えを読み上げると



先生は「正解だ」と言って、また黒板にチョークを走らせた。



……悠里くんに、お礼言わなきゃ。



ちょんちょん、と指先で悠里くんの背中を叩くと



悠里くんがこっちを向いてくれた。




「ん?」



「あ、あの、
ありがとう!



……悠里くん…」




最後の、“悠里くん”ってとこは、すごく小さな声で呟いた。



だから、悠里くんには聞こえてないと思う。




「……どういたしまして」




そう言った悠里くんの声は、



少し、嬉しそうな気がした。