ケータイ小説 野いちご

「そっか。よかったな」


渉も嬉しそうだ。


「お前ら今から登校か?」


彰があたしたちを見回してそう聞いて来た。


彰はまだ何も知らないようだ。


話すべきかどうか悩んだあたしは、曖昧な笑顔を浮かべた。


「お前こそ、遅い登校だな」


翔太が話をそらせてそう言った。


「あぁ。今日は寝坊しちまったんだ」


なんてことないように言ってのける彰。


その態度にあたしたちからは笑顔が漏れた。


と、同時になにか言い知れぬ違和感が浮かんでくる。


和夫がいなくなり、准一がいなくなり、その穴を埋めるように彰がいる。

< 89/ 245 >